ジャズ バストロンボーンプレイヤー 服部陽介

三重県四日市市在住トロンボーンプレイヤー。様々なビッグバンドに所属して名古屋・関西でも活動中!

ミンガスビッグバンドの『MOANIN'』バストロンボーンパート演奏してみた【殺す気か!】

こんばんは!
ジャズ・バストロンボーン奏者の服部陽介です。

 

「ビッグバンドのバストロンボーンパートを上手く吹く方法を知りたい!」
バストロンボーンでジャズを演奏することになったけど、どうやって吹くの?」


この記事はそんな方に向けて書いています。

 

今回は"MOANIN'"という曲を演奏してみました。

D.C al FINEなのでソロの入るところまでの演奏です。

youtu.be

MOANIN'を上手く演奏するには?

 MOANIN'ってどんな曲?

MOANIN'とは

MOANIN'はMINGUS BIG BANDのデビュー・アルバム『NOSTALGIA IN TIMES SQUARE』に収録された1曲です。

 

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MINGUS BIG BAND 93 - NOSTALGIA IN TIMES SQUARE

バリトンサックスのRonnie Cuberを全編フィーチャー1曲ですが、実はバストロンボーンも目立ちどころが多数あります。
ちなみにMOANIN'の日本語訳は『うめき声』です。(朝ではありませんよ笑)

MINGUS BIG BANDとは

MINGUS BIG BANDとはベーシストであり作曲家のCharlies Mingusの楽曲を専門に演奏するビッグバンドです。

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Charles Mingus

名前の通りミンガスがリーダーのバンドと誤解されがちですが、このバンドが発足したのはミンガスが亡くなったあとです。

マネジメントしているのはミンガスの奥さんだそうで(wikipediaの情報なので間違ってたらスイマセン)あくまでミンガスの楽曲をビッグバンド編成にアレンジした曲を演奏することをコンセプトとしています。

編成がサックス5、トロンボーン3、トランペット3、ピアノ、ベース、ドラムで通常のビッグバンドより少し少ない14人編成です。

アレンジャーのSy Johnsonって

Sy Johnsonは1970年代のミンガスバンドでピアニストとしてプレイしていました。

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Sy Johnson

ミンガスが存命のときからアレンジャーとしてバンドに参加し、ミンガス亡き後もアレンジを続け、ミンガス・ビッグバンドの多くの編曲をSy Johnsonが担当しています。

さぁ、どうやって『MOANIN'』攻略する!?

この曲は音域が非常に低いのでまず中~上級者向けに書きます。

 最後に初級者向けのアドバイスを書きます。

曲の考察

最初から[97]までひたすら同じ16小節を繰り返す構成で、どんどんプレイヤーが加わっていきサウンドがビルドアップされる流れになっています。

[97]から初めて別のフレーズが登場しブリッジ的な役割を果たしています。

[113]からもとのモチーフのフレーズをコールアンドレスポンスし、全員でインプロした後バリトンサックスソロへとつながって行きます。

まぁ、とにかく音が低いよね

バストロンボーンプレイヤーとしてまず気になるのは音の低さだと思います。

いきなり、ペダルBb~,Ab~,G~,Gb~という低音域からのソロフレーズがあり、その後、五線下のFに「8VB IMPROVISE AROUND PEDAL F」という指示が入ります。

つまり、ペダルFあたりで自由に吹いてねということです。

「そんなこと言われても何やっていいかわからん!」と言いたくなりますが、ペダルFあたりでぐちゃぐちゃ大きな音を吹いていればOKです。

なんでこんなに音が低い譜面になってしまったのか?

当時、MINGUS BIG BANDバストロンボーンパートを担当していたのはDavid Taylorという人です。

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David Taylor

David Taylorはニューヨークで最も売れていたバストロンボーンプレーヤの一人で低音を大きな音でブリブリ吹くのが印象的です。(現在も売れています)

ここからは僕の推論になりますが、Sy JohnsonはDavid Taylorが吹くことを想定してこれだけ低くてもイケるやろ!と思ってアレンジしたと思います。

だから、こんなにも低音域のパートになってしまったんですね。(あくまで予想です)


アンブシュアをスウィッチさせろ!

さて、ペダルBbより下の音域を大きな音で吹くためにはアンブシュアをスウィッチさせる必要があります。

これには個人差がありますが、僕の場合はペダルのAb~Gがアンブシュアのスウィッチポイントです。

よく見ていただくとわかるのですが、13小節目から音が下がっていく時にAbからGに音が変わるところで口角が下がっているのが見てわかります。

ペダルFは完全に口角が下がりきっていますね。

Bb以下のアンブシュアのスウィッチに関しては色んな人に話を聞いたり、本を読んだり、動画でをみて研究しましたが、ほぼ100%の人に当てはまります。

ただ、どの音からスウィッチするか?どういう風にスウィッチするか?は個人差があるため一概にどうとは言えないので、自分にあった方法を色々トライして見つけていくしかありません。

これをやったら誰でも低音が出せる!なんて美味しい話はなく基礎練習と実験の繰り返しです。

ペダルBb以下の音域を使ったスケール練習やリップスラーを基礎練習に組み込んで下さい。

3通りのペダルFの吹き方

今回の演奏でのペダルFは3種類の方法で吹いてみました。

6番ポジションで吹く方法

F管の1番ポジションで吹く方法

Gb管の2番ポジションで吹く方法

Gb管を使う方法はインライン・ロータリーでしか使えませんが、ペダルFを吹くときにGb管を使っている人が結構多い気がします。

自分にあったペダルFの吹き方を探してみて下さい。

 テーマの吹き方

C------C-Db-----EbDbEbDbC------のテーマですがキッチリ吹くよりややルーズに吹いたほうがカッコイイと思います。

ただ5番6番ポジションはピッチが不安定になりがちなのでそこは注意してくださいね。

同じフレーズの繰り返しですが、回を増すごとに色々なパートが加わってくるので音量を大きくしていきバンドのサウンドをビルドアップさせましょう。

[105]の吹き方

レッテル[97]になりようやく別のフレーズがでてくるのですが、ここからは正確にキッチリ吹く必要があります。

[97]まではぐちゃぐちゃと混沌としたシチュエーションですが、ここからは整然としたセクションとなるのでその差をはっきりさせて曲にコントラストをつけましょう。

本来なら109・110小節目には8分音符でユニゾンがあるのですが、その後のペダルGbを優先するために吹くのを諦めました。(恐らく音源も吹いてないんじゃないかな?)

正直、約2オクターブの跳躍があるフレーズは無理があるかなと思います。(Sy Johnsonさんスマン)

[113]の吹き方

ここに関してはほとんど説明することもないのですが、バリトンサックスのフレーズをよく聴いて、それに対してそれぞれのプレイヤーがレスポンスできると曲の自由さがでて面白い演奏になるかと思います。

初級者に向けて

まだバストロンボーンを初めて間もないのにこんな曲が回ってきてしまった、、、どうしよう、、、という方に向けて書きます。

結論から言いますと「ペダルノート(めっちゃ低い音)は1オクターブ上げて吹きましょう」です。

シチュエーション的に1オクターブ上げて吹いてもカッコイイので問題ないでしょう。

長期的にこの曲に取り組むならまずは五線内のBb~ペダルBbの音域をキッチリ吹けるようにしましょう。

その次に先に書いたアンブシュアをスウィッチさせろ!を参考にペダル音域でのロングトーンリップスラー、スケール練習を取り入れ段階的に低音を吹けるようにしましょう。

残念ながら低音に裏技はありません。コツコツやるしかないんです。

感想

ここからはただの感想ですが、今回本当に疲れました。

演奏の後の顔が死んでます(^_^;)

本来ならソロがあって丸々同じくだりがもう一回あるので本番なら2倍大変です。

この曲を吹ききるという体力もバストロンボーンの技術として必要ですね。

さらに上達するには!?

今回は大体言いたいことは言えました。

「もっと自分に合ったアンブシュアをスウィッチさせる方法が知りたい!」

「低音の具体的なエクササイズを教えて欲しい!」

という方はぜひレッスンを受けに来て下さい。

主に大阪・兵庫、たまに四日市・名古屋でレッスンをしています。

時間帯にもよりますがオンラインレッスンもできます。

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